マシュマロベイビー


抑えていた涙が




堰を切ったように



一緒にこぼれてしまうから。




紅葉は下を向いてしまって



それでも



「奏ちゃんが、好きなの。




だから奏ちゃんにも




わたしだけ好きになってほしい」



涙声だけど伝えることができた。



泣きじゃくる紅葉。




ずっと言えなかったコトバを



口にした途端に



ボロボロ。



顔は涙でぐちゃぐちゃなのに




奏ちゃんの声が頭上から聞こえた。




「顔見せて」




……やだ。



絶対ムリ。




ぶんぶんっ。




紅葉は下を向いたまま




クビを思いっきり振った。



なのに



「紅葉。



お願い」




奏ちゃんが





奏ちゃんらしくなく




お願いなんて言うから




ううう…。




少し手で顔を隠すようなカタチで



紅葉は少し顔をあげた。




うう、うわーん。




奏ちゃんがめっちゃ見てくる。




ポロポロなのに〜





いちばん、いちばん




奏ちゃんに見られたくないのに…




いっぱい、いっぱいの紅葉に




奏ちゃんのひとこと。



「何でそんなエロいの」




は、はいいい?




なに言ってんのコイツ。




思わず心の中で口悪い紅葉がでる。



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