マシュマロベイビー



やだぁ。やだ。




どうして。どうして。



こんなひとに。




こんな人のせいで。





もう、邪魔しないで。




あんたみたいな




あんたたちみたいなひとのせいで





オトコが嫌いで





この身体が嫌いで




自分が女の子だってことも




嫌いで。





どこかで




好き。




ただ、ひとを好きなる





その気持ちにストップが





かけられて。



〝トモダチ〝



その言葉に縛られて




アラタくんを




自分を





傷つけた。




もぞ。




オンナの力は敵わなくて




チカラいっぱい体にくっつけている



脇から




萌の胸に触れようと





指が出てくる。





やー。気持ち悪い




やだぁ、もう。





だれか。助けて。




そう切に(せつに)



萌が願ったとき




「わっ」




その声とともに



萌の背後の圧迫感が消えた。





え?



半分泣き顔の萌が振り返る。




「…おまえ、コロスぞ」



顔色がもう青くなっている中年男の



えり首を掴んでいるのは





アラタくん?




ザワ。





ざわつく周囲の中で




アラタくんが



ギリって。さらに強く




中年オヤジのクビを




締め上げる。



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