マシュマロベイビー
バイト終わりで、裏口から出る
萌と紅葉
あれ。通りのところに数人の男の子。
やだな。
そう思ったら
「…んで、アラタがそこまでする
必要ねぇじゃん」
声が聞こえた。
アラタ?
そのとき、その男の子の集団のなか
振り返ったアラタが
萌に気づいた。
「お。終わった?」
「どうしたの?」
アラタの方に萌が歩いていく。
「バイト終わんの、大体この時間って
言ってたからさ。
俺もそこのスタンドで、バイトしてるって
言ってたろ?
だから、出来る時は…
送れるけど。って思って」
アラタが言った。
「え?
ほんとに、いいの?」
素直に喜んで、逆にアラタに問う萌に
「だって…
オトコ友だちなんだろ」
笑ってそう言ったアラタ。
「じゃあ、行くか」
「うん」
2人で振り返って言う。
「じゃあな。」
「あ、じゃあ、また明日!紅葉
バイバイ」
見送るしかないみんなを残して
帰っていく二人。
…
「どうなってんのよ。何で
萌が、バカ業のやつなんかと」
「何でアラタがそこまでしてやんなきゃ
いけねぇんだよ」
紅葉とアラタの友だちが言ったのは同時で
その声に
「あ?
何だよ。バカ業のやつなんかって」
紅葉にいうそのオトコ。
「まあ、まあ、奏ちゃん」
ヘアバンドことコウタが
奏をなだめる。
紅葉はちょっと虚勢を張って
言い返す。
「凄まないでよ!
だから、嫌いなのよ。バカ業。
あの男何なの?何で萌があんな…
気を許してんの」
八つ当たり気味の紅葉のことば。
「さっきよりボロクソじゃねえか。
何だお前。ムカつく女だなーっ!
知らねぇよ!
何か昨日泣かしちまったから。
アラタは悪いと思ってんだろ。」
出会って1秒で
ケンカ勃発2人の間でオロオロする
コウタ。
「ちょいちょい、おふたり
何そのケンカっぱやさ。落ち着いてー」
聞く耳もたない2人は
「は?オトコ友だちって…何?
萌が?オトコと?
何で?
意味わかんない…。」
ポツリ
「うさんくさい」
紅葉が言ったとき
「あ?
お前ら自意識過剰過ぎなんじゃね?
オトコがみんなお前の友だちに
惚れるとでも思ってんのかよ」
奏が切れる。
一触即発の雰囲気の2人。
その間でオロオロするコウタが
「あ、じゃあ。
あのふたりがトモダチだし?
ここは、おれたちもトモダチに…」
言いかけるその声は
『ムリっっ!』
シンクロした2人の返事にかき消された。