マシュマロベイビー
騒がしいはしゃぎ声をかき消すような
絶え間ない潮風の音が
耳元で大きな音をたてる。
ジリジリ
直で当たり過ぎる太陽に、
肌が焼けていっているのが
わかるくらいだ。
「アラタ!
萌ちゃんたちは?」
飲みもん買ってきたコウタが言う。
アラタは携帯を触りながら
「んー。もう来るみた…」
言いかけたアラタの言葉が
コウタの後ろに視線を固定したまま
途切れる。
ん?
アラタの視線に振り返る
奏。
少し向こうから
モデルばりに
視線を集めて歩いてくるのは
萌と紅葉。
けど、その視線の集め方は…
萌は
ネコ?
タンキニみたいな水着なんだけど
膝ぐらいまである丈
トップスはダボっとした半袖の
パーカースタイルにネコ耳フード。
ガラは某アニメのチシャ猫?
紅葉ちゃんもおそろのこっちは…
トラ柄。
確かに
全然胸は目立ってないよ?
けど、別の意味で
めっちゃ
目立ってるし!
しかも、周りの目を一切気にしない感じで
堂々と…やっぱりモデルばりに
ウォーキングしてきた
2人は
奏の前にきて
立ち止まる。
そして、
バーン。
って、モデルポーズ!
萌が言う。
「どうよ?
奏ちゃん。
気まずいの気の字もないでしょ?」
紅葉も言う。
「『ギャフン』
でしょ?」
ドヤっ。顔でポーズ決めたままの2人。
目を丸くして、絶句してた奏が、
「…っは、はははっ」
吹き出すように、大笑いした。
「何なの、お前ら。
ほんと、面白いんだけど」
アラタたちも笑って言う。
「かっこいいし」
奏はひとしきり笑って
言った。
「ギャフン」