マシュマロベイビー
だんだんと日が陰り、
濃くなるオレンジに染まる
駅までの道のりを
萌とアラタが先頭を歩いている。
次にふざけて、騒いでるコウタと純
その後ろにいる
奏。
と斜め後ろの紅葉。
紅葉の心臓がざわつく。
奏が
コウタたちのとこに行っちゃう前に…!
そう思って。
「そ、奏ちゃんっ」
紅葉の声が、奏を呼び止めた。
奏が一瞬止まって、振り向く。
無言の奏。
何考えてんのかわかんない。
無表情な感じ。
そのくせ、
濡れて
いつもより長くなった前髪の隙間から
ジッと紅葉の顔を見つめる
奏ちゃんの瞳。
この夕暮れのせいか
薄茶色に見えて、きれいだし。
奏のその表情に
言葉が出てこない紅葉。
なによー。呼んだっていいじゃん。
謝ろうと
思ってるのに…。
最初に言っちゃった言葉。
謝ろうと思うのに。
最初はキライって思ってた。
アラタくんのことも、奏たちも
だって、ガラ悪そうだし、
イケメンで、遊んでそうって見えたし
若業だし…。