マシュマロベイビー

キミの背中にふれて 紅葉と奏




ガタン。




電車が揺れた。




ドア横の手すりを、ギュッて握ったまま




目をつぶって、たっている紅葉(くれは)



やば。




どんどん痛くなってきた。



紅葉(くれは)は、そっと




お腹のあたりに手をやる。



朝、学校に向かう電車のなか。




薬は飲んだから、少ししたら



効いてくるはずだけど…




さっきから間隔あけて、やってくる




お腹の痛みはどんどん激しくなる。



もう、こんな日に当たるなんてー。



紅葉は頭の中で叫んでみる。




今日は期末考査の初日で



絶対休めないし、遅刻できないのに!




昨日までの、努力がムダになるなんて、




絶対やだー。ありえない!



朝から痛くて…



いつもより2本も遅い電車にしか



間に合わなかった。



駅から走れるかな…。




走らないとやばいんだけど。





…っ。




また痛みの波。



いったっ…



あまりの痛みに



しゃがみ込みそうになる




ふらついたその身体を




ガシっ。



誰かの腕が



下から抱きとめてくれた。



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