マシュマロベイビー
本気だすなんて言ってみたけど
オスを嫌がる子に
オスを意識してもらうって…
ちょっとでもセーフティライン超えたら…
アウトじゃね。
たいしたプランなんか
浮かばねえよ。
でも
気持ちだけ焦って
『バイトない日だけど、
今日帰り遊べる?』
『いいよー。
どこで待ち合わせする?』
なんて、かわいいスタンプきたら。
舞い上がって、萌の学校近くまで
迎えに来てしまった。
さすがに学校前は
恥ずいから。
駅近くのガードレールに腰掛けて
萌を待つ。
萌と同じ制服の子が目の前の坂から
ちらほら、降りてくる。
「やば。かっこ良くない?」
「でも若業だよ。遊ばれそ」
「若業でもいいよーっお」
なんて聞こえよがしの声。
いつもなら
軽くニコって
笑ったりするのに。
おれの頭ん中は
焦ってた。
やべ。
萌に迷惑だったかな。
〝バカ業〝がこんなどこまで来て
萌にひきつった顔されたらどうしよ。
そう思ってたら
坂の上から駆けてくる女の子。
萌が、嬉しそうに走ってくる
アラタしか見えてないみたいに
急いで降りてくる萌。
「アラタくんっ。
待たせちゃった?」
ハアハア言いながら、そう言う
笑顔の萌。
あーっ。
抱きしめてえ。
本気出すどころか
おれが本気になってるし。