マシュマロベイビー



若業学園祭当日。




呼び込みの男の子の声が



前でも後ろでも大きくて



すごい…響いている。



鼻につくのは、綿あめの甘い匂い



タピオカドリンクに



イチゴアメやクレープ。



そのスイーツゾーンを抜けたら




ソースのこげる美味しそうな焼きそばの匂い。




売っているのはみんな派手な



オトコの子で



お揃いのハッピやティシャツ着て



すごい…



熱い呼び込み。



学園の中は、アップテンポな曲が



鳴り響いている。



「すごいね」



若業の迫力にちょっと、



もうすでに帰りたくなっている萌と紅葉。



ほんとは、ゆっくり見たいし



食べたい。



のに!




通るたびに、出会うたびに




ナンパの嵐。



ていうか、挨拶?のように



グイグイ



ナンパしてくる。




萌たちだけではなく



女の子はみんな、されてるっぽい。



顔見てる?誰でもいいんでしょ?




って、突っ込みたくなるほど。




萌たちは、それをかわすだけで、精一杯かも。




もうむりだー。



とりあえず、2人で人のいないとこへ




避難っ!。



3階の薄暗い階段の踊り場。



こっちの一角は静かだから…



多分人もあまり来なそう。




「はー。」2人で大きく息を吐いた。



「若業なめてたね。



こんなすごいとは」紅葉が言うと




「ほんとっ。



全然…楽しめないかも」萌も言う。




「何か…疲れたね」




やっと、ひと呼吸つけて



2人で窓から外を眺める。


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