マシュマロベイビー









「何で来た?」




奏のことばに思わず



反応しちゃう紅葉。



顔を上げて、奏の方を向く。



「パイセンに会うためじゃなきゃ、



何できたの。



また、萌のつきそい?」




紅葉は口を開きかけたけど




奏の視線になぜか



どきん。




胸がおかしくなって




声が出ない。





「あ、あたしは」




言いかける紅葉に




奏が言った。





「考えてから、




答えろよ」




奏のその静かな声に



「え?」

 

戸惑った様子の紅葉。



奏の感情を語る瞳に



紅葉の頬が少し赤くなった。



…悪いな。



グレーゾーンなんて



曖昧で



めんどくせえことは、



おれは無理。




簡単だろ?



好きか嫌いか



俺のものになるのか、



ならないのか。




〝おれに会いにきた〝



そう言えばいいのに。



それなら、



もう逃がさない。





紅葉の瞳が



潤んで、揺れてる。



おれは



ただ、簡単なこと




聞いてるだけなのに



なんで



そんな




…辛そうな顔すんだよ。




無言で



眉尻を下げる紅葉。



泣くんじゃねえだろうな。って…




焦ってくるじゃねえか。



なんだよ。



おれらしくないのに



肉食になりきれない。



「…わーっかったよ。」



拗ねたような声がでる。





「保留にしとくからな。



今度…近いうちに



もっかい聞くからな!」




なんて、照れ隠しみたいに



ガキっぽいこと



言ってしまった。



でも



そんな奏に



紅葉が思わずって感じで




笑った。



顔を赤くしたまま



優しい笑顔を奏に向けるから。




だから




「そんな待たねえからな?



近いうちだからな!」




奏は念をおす。




ほんと…




めんどくせえな。



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