マシュマロベイビー
不器用すぎる僕たち
トモダチのハグ
ずっと
何回も
思い出して。
アラタくんの声。
アラタくんの腕。
“トモダチだろ“
そう言った言葉に
“萌“
そう呼んでくれたときの
まなざしを。
心が苦しくなったり
嬉しくなったり。
思い出すだけで
息がとまるみたいに
胸がザワザワして
わたしは、ずっと
アラタくんのことばっかり考えてる。
携帯が鳴る。
表示をみて
ドキ。
アラタくん。
『萌、学校何時終わり?』
どきん。
アラタくんからメッセ。
『ちょうど
萌の学校の近くにいるから、
終わったら、一緒にバイト行こう』
アラタくんが
待ってる。
アラタくんに会える。
ゲンキンなわたしは
浮かれて
足バタバタさせたいくらい。
バカみたいに
ひとりで上がったり下がったり
忙しいの。
「ねー!板垣さんっ。」
ん?…誰だっけ。
休み時間に
急に萌の席の前に立った女の子。
ハテナ顔の萌に
「わたし?増本だよん。
隣のクラスでしょ!
知っててよ!
ね、板垣さんって、
アラタくんと知り合いなのー?
この前、一緒にいたよね。
若業の学祭で。
見ちゃった」
その名前も知らない同級生が言った。
「えっと…知ってるの?」
アラタくんのこと。
何でか、心臓がドキドキしながら
萌が言う。
「知ってるよー。
メッチャかっこいいじゃん。
結構有名だよね」
いつのまにか横に来てた増本さんの
友だちらしき子たちも
言う。
「なんて言うか…
かっこかわいい!
だよね」
「笑ったら、少年みたいにかわいいくせに
身体とかメッチャオトコらしくて…
やばい笑」
「えーもうっ。抱きしめられたい!
みたいな。
キャハ♡」
萌の前で盛り上がる3人。
増本さんが萌を見て吹き出した。
「板垣さん、顔
真っ赤」