魔女の紅茶
同性に興味はありません
魔女様がどんな手を使ったのか、僕には想像するしかない。けれど、たっぷりの蜂蜜に浸されたようなふやけた顔のゼイン様を見る限り、昨夜魔女様は彼の望む事をして差し上げたのだろう。
朝食を摂るにはまだ少し早い時間。「私の可愛いペットにご飯をあげてちょうだい」という魔女様直々の頼み事を遂行すべく、ゼイン様がフルーツと薬草の入ったカゴを、僕が正体不明の肉が入ったカゴを持ってクルル様の寝床である洞窟へと来たものの、二歩前を歩くゼイン様の砂色の髪を飾るようにその周りでずっと花が咲き乱れていて、気持ち悪いさと羨ましさから、こいつ餌と間違われて頭から喰われてくんねぇかなぁなんて思った。
確かにそう、思ったんだ。それは否定しない。しないけれども、反省はしよう。人間、いくら心の中とはいえ、思っていい事と悪い事がある。
「はは、人間ってぇのは、脆いなぁ……坊主」
「っ、ぜ……ゼイン、様、」
なんて。
喰われちまえと思った相手が、クルル様ではなく獣人と呼ばれる種族に、頭ではなく喉元を喰いちぎられてからでは、何もかもが遅い。