幼女総長と不良たち


「・・・だったら何だって言うんでしゅか?!」


目を反らすことなくハン君を睨み続ける。

今にも爆発しそうな自分の心臓の音が顔の中を通って鼓膜に伝わる。

鼻が、耳の穴が、水の中で溺れたようにツンとした痛みを持ち始めた。

でも大丈夫、涙が出る様子はない。


「・・・だったら、ムカつくし、イライラするし、

この世のヴァンパイア全員死ねばいいよ。」


後半のくだりだけ急にスラスラとつかえることなく喋り出した。


「なんで?!凌久たちとは仲間だったんでしょ??!自分は"fake loser"だって言ってたじゃん!!」


「・・・仲間??そんなのボクには、いらない。ボクには、伊東さんだけいれば、いいんだよ。」


ハン君が私の小さな肩に何度も指で触って確認する。

ちょうど首と腕の真ん中あたりに柔らかい部分を見つけたようで、そこを軽く指で摘まむ。

触られてるだけでも気分が悪いのに、ハン君がその部分に顔を近付けて来た。


「っっ!」


何をされるのか分からず、小さくパニックになりながらも首を必死に左右に動かす。

でも片方の手で頭の側面を掴まれて固定されると、袖のフリルを咬んで避け、ハン君が私の肩に大きく噛みついて来た!


「っうッ・・・ぁあ"ッッ・・・」


痛い。


牙のある歯に咬まれるよりも全然痛い!!

ヴァンパイアでもないのに奇怪な行動を取るハン君の得体が知れない。

訳が分からない!!

理由が無いものほど酷く落ち着かないものはない・・・


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