幼女総長と不良たち
ようやく奇怪な儀式が終わると、ハン君が最後に私の肩を一舐めした。
その感触すらもよく分からない。
「はあはあはあ・・・・」
「うん、可愛い声で、ちゃんと哭けたね。」
切なくも満足気な表情で私に微笑みかけた。
血が出ているのかいないのか、肩の皮膚がジンジンと音を立てているようかのように熱い。
信じられないっ・・・
私のことを神だのなんだの言っていたのに。
私を見下ろすハン君のその顔は、私をボロボロにしたいと言っていた時の顔と同じだ。
私に「惚れた」、私は「神だ」、私を「ボロボロにしたい」、
どれが本当なのか、
この共通点がなさそうな言葉の頂点に立つのは私だという証拠が見つからない。
「っ・・・っッ」
色々聞きたいことはあるはずなのに、痛みと恐怖のあまり声にならない。
涙が目尻から頬をくすぐり出すと、今一番の本音が身体の底から沸き上がる。
誰か、誰か、
お願い助けて─────
「君は、ボクだけの神様でいれば、いいんだよ。
醜悪なヴァンパイアのために、君の血を与える必要なんて、ないんだ。」
・・・ちがう・・・
醜悪なんかじゃない!!!!
あの時の煙草の灰が喉にまだつっかえてるんじゃないかと思う程息苦しい。
次に私が口を開いたら何をされるだろう。
怖い。
でも、今のは聞き捨てならない!!
怖いのに自然と脳内から"声を出せ"と信号を送って来る。
相反する気持ちが振り子のように左右に揺れるも
震える唇からふっと息を吐き、虚ろな目が泳がぬよう、ハン君の顔をしっかりと見据えた。