幼女総長と不良たち
──────・・・
遠くからパトカーのサイレンが聞こえる。
・・・多分、1台だけじゃない。
「ッお"いっっ!!」
里桜の声でハッとすると
ハン君が目を抑えながらも、遮光カーテンで閉ざされた窓際に移動していた。
「・・・くそっ、」
小さく悪態をついたハン君が遮光カーテンをシャっと開けると、部屋に白い光が差し込んできた。
でも外はまだ薄暗い。
もしかしてもう朝だったりするのだろうか?!
ハン君が窓をスライドさせると、窓際に足を掛ける。
「な"っっ」
里桜が止めようと手を伸ばそうとするも痛みで腕が上がらない。
「・・・またね、織果・・・
ずっと名前で、呼んでみたかったんだ・・・」
「っ────」
片手で目を抑えながらも
ハン君が窓から飛び立つように下りて行った。
揺れるカーテンの向こうから車がエンジンを吹かす音が聞こえる。
暴走族のようにわざとエンジン音を周りに響かせると、勢いよく遠ざかって行った。
・・・洸太郎のMINIだろうか。
早朝から大迷惑だ。