幼女総長と不良たち
「俺のもんにする」だの「預けろ」だのどっちだよ?!!
どっちにしろ、"はいどうぞ"なんて言うわけないだろっ!!
「・・・悪いが俺らはそんな簡単じゃねぇ!織果はお前のとこには行かせねぇよ!!」
「行かせねえって・・・、今日織果はうちに来たぞ?」
「は?」
「"簡単"に連れ去られてんじゃねえよ金髪。」
「っっ」
喧嘩を吹っ掛けられてるわけじゃないのに、頭に血が昇った俺は須藤の顔面目掛けて拳を繰り出した!
でも拳はあっけなく躱され、須藤に腕を強く掴まれる。
「だから、織果が起きるだろがっっ。」
金色の目が俺を射抜く。
須藤の重低音が俺の心臓を揺さぶり、思わず息を呑んだ。
呑まれそうな空気に掴まれた腕を無理矢理引き剥がすと、その目を鋭く睨んだ。
コイツは、敵だ。
「俺らの大事な総長を、お前なんかにはやらん!!」
「・・・」
「俺の大事な織果を、お前なんかには渡さんっっっ!!!!」
まさかの言葉が唐突に出て部屋に静寂が取り残された。
俺の心臓がバクバクと胸を打つ。
襖の向こうからは織果の寝息が聞こえてきた。
・・・寝てて良かった~~~!!
「・・・ふっ・」
須藤が馬鹿にしたように吹き出す。
やっぱりコイツは余裕ぶったイケスカナイ野郎だ!
でも、目を覚ました織果は俺に嘘をついた。
まるで須藤を庇うように。
最初はただムカつくばかりだったが・・・
後から何で分かりきった嘘をつくのかを考えてみた。
しかも織果が俺に悪態をつくなんざ初めてのことだ。
もしかして、
織果は須藤のことが好きなのだろうか。。
須藤は喧嘩をしに来たわけじゃないのに、カッとなって手を出した自分の余裕の無さを情けなく感じた。
自分じゃ織果を守るに相応しくないのかもしれない。
織果が、もし須藤の元に行きたいのだとしたら───・・・
なあ、俺らの絆って
そんなことで終わっちまうようなもんなのか──────?