幼女総長と不良たち
───事件の日、
三潴のネットワーク網のお陰で織果の居場所を掴んだ俺たちだったが、もっと早く気付けなかったことが悔やんでも悔やみきれない。
そのせいで織果は骨盤骨折と精神的な病を負った。
対人恐怖症。
人との接し方に不安や緊張を感じるあまり、生活に支障をきたすもの。
織果が入院していたのは二越財閥が経営する病院だったからカウンセラーに直接話を聞くことができた。
対人恐怖症を治すにはとにかく織果に"自信"をつけさせること、
織果が自分は必要とされている存在だと感じることが重要らしい。
俺らが織果の血を飲み始めたのはこれがきっかけだった。
アイツには力の強さだけじゃなく、ヴァンパイアの怪我や病気までを治す「狂喜の血」の力がある。
そのたぐいまれな特性を活かし、上手く織果に頼るために俺らはわざと怪我したりなんかして血を要求することにした。
それに血液を新しいものに循環させていけば事件の記憶を早く薄れさせることが出来るかもしれない、
自分が頼られているという実感が、辛い過去を上書き出来れば一番いいとカウンセラーが言った。
瞳子が俺らに「二度と関わらないで欲しい」と頭を下げて来た時、この血を要求する方法で織果の対人恐怖症を治すことを提案した。
大事な姪っ子だからと"ヴァンパイアが人間の肌から直接血を飲む場合のマニュアル"を渡してきた。
んなもんどっから探して来たのか、
レスキューなんかで使われるものらしいけど。