幼女総長と不良たち


でも、これが俺にとっては痛く胸を突かれるもんになってしまう。


普段ガサツで男勝りな織果が、血を飲まれる時だけは女になる。

パーカーのジッパーを下げ、肩を出し、そこに触れると白い肌がピンク色に染まる。

吸い寄せられるように牙を立て肌に吸い付く。

血が垂れないよう、舐めたりなんかして。


織果の唇から声が漏れそうになって、それを我慢する仕草が(たま)らなく興奮する───


───というのは俺だけじゃないはずだ。


そんな姿を他の3人にも見せてるのかと思うと無性にイライラする。

つい飲みすぎて織果にビンタを喰らうのがオチだが、他の誰にも飲ませたくないと思う気持ちは日に日に増すばかりだ。

告白することも考えたが、付き合えたとしても織果は今まで通り他の3人にも血を与えてしまうだろう。


これが"嫉妬"というやつなのだろうか。


元々恰好も地味な織果だが、ハーフ顔を少しでも目立たせないようにと二越が眼鏡を掛けさせた。

「眼鏡掛けた方が少しは可愛いくなるんじゃない?」と嫌味を言う二越に、ふくれ顔で小さくパンチを繰り出す織果。

二越がニヤリと馬鹿にしたような笑みを浮かべながらも、どこか愛おしそうに眼鏡を掛けてやる姿が鼻についた。


入院中、初めての笑顔を見せられ戸惑う俺を尻目に、ごく自然に「笑顔の織果ちゃん可愛いね」と言う三潴。

三潴の存在自体が鼻についた。


四竃が病院出て泣いた時だって、コイツ、元極道の息子の癖にいつまで泣き喚いてんだって、

しかも同じアパートにまで住み出したりなんかして・・・。

もしかして織果に気があるんじゃないかって思ったら鼻についた。



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