幼女総長と不良たち
その247件の人物は
ハン・シアン。
画面に表示された名前に思わず笑みが溢れた。
昨日の朝から今日の朝4時までの履歴が残っている。
国の文化の違いというのは面白い。
きっと彼の国では沢山着信履歴を残す習慣があるのだろう。
・・・なんて・・
やはりこの時の私は完全にイカれている。
今日は一限から授業だろうか?
ハン君は昨日授業に行かなかった私を相当心配して掛けて来てくれたのかもしれない。
・・・電話は少し緊張するが掛け直してみようか。
私が"狂喜の血"を持つミステリーな存在だと知っているハン君なら、今の小さくなった状況を理解してくれるかもしれない。
なんせハン君は天然系のほんわか韓国男子だ。
今の私を見たら何て言うだろうか??
ちょっとその反応を見てみたい気もする。
でもこの時私は、
瞳子さんからのライン2件と宗平からのライン28件が入っていることに気付かなかった。
初めて出来た大学の友達がこんなにも私のことを気に掛けてくれているということに、どうしようもなく嬉しさを感じてしまったから。
私も負けじと何度かハン君に電話を掛けてみた。
どんな意地の張り合いだろう。
まあ私も暇だから仕方無い。
30回ほど掛けてみたけどハン君は電話に出なかった。
これ247回掛けるってけっこう根気がいると思う。
ハン君はなかなか根性のある青年なのかもしれない。
さすがヴァンパイアだ!
諦め掛けてスマホを机に置こうとしたその時、スマホのバイブが鳴った。
画面を見ると瞳子さんからだ。
「もしもし」
『ああ、おはよう。起きてた?』
「さっき起きたとこでしゅ。」
瞳子さんは私の本当の母親なんじゃないかってくらい優しい。
私が起きないようこうやって時間を見計らって掛けてきてくれるのだから。
まあ電源切れてたんだけど。