諦めた心
家に着き
兄に部屋まで運ばれて
「ゆっくり休め。」
と、言われた。
母の顔·······
兄の日和の顔·······
怜の顔と言葉··········が····
ぐるぐると
頭の中で回り続け
思考を奪って行った
今が何時かもわからない······
【 母さん・お兄ちゃん へ
辛い思いをさせて
ごめんなさい。
悲しい思いをさせて
ごめんなさい。
父さんみたいな、立派な人を
私なんかが汚して良いわけないよね
父さんに謝れるかな
一華 】
何を書いてるのか
支離滅裂な文章に
笑いがもれる。
こんな時に笑える自分は
おかしいのだと思う
家の中は、シーンと
静まりかえっていた。
私は喪服のまま
そっと家を出た。
母や兄が、どれだけ
心配するのかなんて
考える事も出来なかった。
父のお墓に行き
父さんにもう一度謝った。
謝ってすむことでは
決してないが······
それから、一度だけ
怜に連れてきてもらった
砂場に腰を下ろして
海をみていた。
暗い海が
月の光で道を作っていた
その道へと
吸い込まれるように
歩いて行き······海の中に·····消えた·······
····11月の····海は······つめた·····かった·····