諦めた心

俺は卒業と同時に司法試験に合格した。

司法修習となり試験を受けながら
父の友人の事務所で
勉強をさせてもらっている。

俺は、検事にはならない。
性格的に弁護士の方が
向いていると思ったから


俺自身
一華がいたから頑張れた。
あいつがあの身体で
頑張っていると思えばこそだ。

杖の音が聞こえてきた
帰ってきたな

1日中、外での生活は
一華の足にはかなりの
負担となっていることは
わかっていたが·····

家に帰宅すると
ソファーにトンと腰を落とす
足のだるさで俺にも気づいていない

「お帰り。」
「あっ、お兄ちゃん、ただいま。」
「大丈夫か?」
「うん。でもかなり足にきてる。」
と、話していると
母さんから
「二人とも、ご飯食べよう。」
と、言われて
ダイニングテーブルに移動する

一華は、俺が抱えて
椅子に座らせると
困った顔をしながら
「ありがとう。」
と、一華が言うから
「どういたしまして。」
と、笑いながら返すと
一華も笑ってくれる。

毎日ではないが
俺がいるときは
これが日課となっていた。


そんな毎日が過ぎていき・・・・
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