諦めた心

本当に旭には感謝していた。

だが、感謝の気持ちだけでは
結婚生活は続かないのだと
いうこともよくわかった。

お互いがお互いを思いやり
そこに« 愛 »がなければ
夫婦としては、成り立たない
と、理解した。

お義母さんの、あの呆れたような顔も
私の心には辛いものがあった。

自分でもわかっている

1日働けば、
家事もろくにできないほど
疲れはて
洗濯、掃除も手薄になる。

それと
明るいところで抱かれることを
極端に嫌い
一緒にお風呂に入る事もなかった。

傷を見て、たまにギョッと
する旭の顔に······
なんとも言えない
気持ちになることがあったから····

旭は、自分がそんな顔を
しているなんて思っていないし
私のこの身体では
仕事が精一杯だと自分の母親に
言った事も悪気はないとわかる

夫婦生活は、もとより
家事すらできない私を·····

だが·····だからこそ
つらかった······

悪気もなく、平然と言う
旭に·····

わかっている、わかっていたんだ。

こんな傷だらけの女で
家事もまともにできない女なんて
誰でも嫌に決まっている·····と····

だが·····
旭は、中々離婚に同意しなかった。

真優さんと言う恋人もいるのに
何を思っているのか
わからない。

そこで、今までの
全てを兄・日和に話した。

兄は、激怒していたが
「いいの。全て本当だから。
でも、お互いが、
そんな思いをする必要はない。

旭は、健康な人と結婚して
お義母さんが望まれるように
子供に恵まれて
気を遣うことなく
幸せになれば良い。」
と、私は言った。


旭との平行線に
業を煮やした兄は、
旭のお父様を巻き込んだ。

お母様に話しても無駄だと
思ったからだろう。

お母様なら
離婚の話しには、
すぐに飛び付くだろうが
兄は、それだけでは、
終わらせるつもりは
なかったらしい。
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