諦めた心
⒑諦めない心
てっちゃん事、哲也さんと
始めて会ったのは、
病院で意識を戻した時だ。
意識がないときも
何度もお見舞いに来てくれていた
と、母からも兄からも聞いていた。
体は大きいが優しくて
私は« 熊先生 »と呼んで慕っていた。
旭との結婚の時も相談した。
少し悲しいような寂しいような
顔をした哲也さんに
私の胸も、なぜか痛かった。
旭との離婚を考えてると
相談した時も
自分の事のように怒り
その時に哲也さんの気持ちを知った。
「あいつなんかに渡さなければ
よかった」
と、哲也さんは、息巻いた。
怜の時と·····いい····
旭も·····
だから私は··恋を·····諦めた····
命も····失った足も····諦めたように····
なのに····哲也さんは、
そんな私の気持ちを····考えを····
無視して、どんどん···どんどん···
私の中に入ってくる
気がついた時には
取り返しがつかないくらい
哲也さんにはまってしまっていた。
体だけでなく
心もでっかい哲也さん。
顔も綺麗な顔立ちをしていて
男性からも女性からも
慕われている。
これだけの人なのに
ここ数十年
彼女もいないと嘆いていた。
哲也さんのお姉さんの旦那さんが
亡くなり、お姉さんとその娘さんを
守ってきたから
だと、お姉さんの静さんと姪の
千亜季さんが話してくれた。
哲也さんからは、
若いときに結婚しても良いと
思える人がいなかったわけでは
ないが、していないと言うことは
縁がなかったんだ。
と、笑いながら話してくれた。
「ねぇ、てっちゃん
夫婦になるのだから
私だけが一方的に甘えるのではなく
てっちゃんからも頼られたい
そんな存在で有りたい。」
と、言うと
「ああ、そうしよう。
俺は、一華が大好きだから
もちろん俺の元で甘やかして
大事にするつもりだ。
だが、俺も一華に癒して欲しいから
頼むな。」
と、てっちゃんは言ってくれた。
嬉しかった。
全てを諦めなくて、よかった。
てっちゃんから
「命があるから
俺は、一華と出会えたんだ。
一華の足だって、
俺が抱き抱えれるから
俺は、ラッキーだ。」
と、言ってくれて
私は涙が止まらなかった。