諦めた心
私と哲也さんは、
お互いに忙しい身の為
新婚旅行には行けない
だが、ある日哲也さんが
「曽我屋診療所に行かないか?」
と、言ってくれた。
私は、大きく頷いた。
二人とも無理を言って
土日の休みをもらった。
もちろん私の仕事は旭がやることに
所長からも回りの先生からも
藤堂さんや木原さんからも
「当たり前でしょ」
と、旭は言われていた。
てっちゃんの方も
事務所の二人から
「ちゃんと留守番してますから」
と、言って貰えた。
私達は、飛行機とタクシーを使って
診療所に着くと
先生も看護師さんたちも
とても喜んでくれた。
てっちゃんが先生と看護師さん達に
「本当にありがとうございました。
一華の命を救って頂いて
そして、一華に活きる勇気を
与えて頂いて。
心から感謝しています。」
と、言ってくれて
二人で頭を下げると
先生が
「本当に良く頑張りましたね。
年頃のお嬢さんです。
辛かったでしょう、苦しかったでしょう。
でも、あなたの頑張りが
この笑顔に繋がっているのです。
良き伴侶に巡り合いましたね。
よかった、本当によかった。」
と、言うと看護師さんたちは
涙を流してくれて
沢山頷いてくれていた。
本当に先生がいなければ
今の私はない。
あの頃の私に
あなたはバカだよ。
でも、助けて貰えて
本当によかったね
と、心に告げる。
てっちゃんと私を助けて
先生の所まで運んでくれた
漁師さんたちにも
お礼を伝えた。
「こんなべっぴんさんやったんか
もったいないことをした。」
と、言う漁師さんに
「でしょう、家の嫁は世界一なんです。」
と、平然と言い返す
てっちゃんに皆笑いだしていた。
「もぅ、てっちゃんだけだから」
と、言うと
「俺が思えば良いんだ。
他の人から言われるのは
嫌だからな。」
と、言うから
またまた、皆さんから笑われて
「幸せそうでよかった。
いつまでも笑って過ごしな。」
と、言って貰えて
「ありがとうございます。」
と、言って本土に戻った。
その日は、空港の近くのホテルに
泊まることになった。
多分、私の足を考慮しての
事だとわかるから
「てっちゃん、ありがとう。」
と、言うと
ん?と、言う····てっちゃん
本当に優しい。