諦めた心
「一華も大変だな?」
と、言う声に
「ああっ、大賀さん。
わざわざ、アメリカから
すみません。」と、私
(私が怜と呼ぶとてっちゃんが
嫌がるから大賀さんと読んでいる。
大賀さんは、それを知って笑っていたが。)
「何が、大変だな、だ。
だが、わざわざ、ありがとうな」と、哲也
「いえ。ご無沙汰しています。
お母さん。」
と、母さんに頭を下げ
てっちゃんと私に
「奥菜さん、祖母の葬儀の時
本当にお世話になりました。
一華もありがとう。
本当、助かった。
今日は、俺のたった一人の友人を
祝いたくて帰国させて頂きました。」
と、怜
「ほんと、お前根に持つな?」
と、てっちゃん。
前に、怜みたいなひねくれた奴と
一緒にいるのはお兄ちゃん位だ
と、言ったのを言ってるらしい。
四人で笑っていると
「なんで、直ぐに俺のとこに
来ないんだ、怜。」
と、お兄ちゃん。
「あっ、すまん。すまん。
日和、おめでとう。」
「ああ、ありがとう。
怜、妻の咲良子だ。
咲良子、話をしていただろ?」
親友の怜だ。」
と、言って
咲良子さんと怜を会わせた。
咲良子さんが、
怜と挨拶を交わしている間に
「一華、大丈夫なのか?」
と、お兄ちゃん。
「はぁっ、もう、お兄ちゃんまで。」
「そうだ、そうだ。
日和は、咲良子さんの事だけ
心配しとけ。」
と、てっちゃん。
てっちゃんとお兄ちゃんが
言い合ってると
「大変だな。一華
相変わらずの二人に。
だが、お腹、大丈夫か?」
と、怜事、大賀さんまで言うから
「あらあら、一華ちゃんも
大変ね。あちこちから。」
「もぅ、先生まで。」
と、言いながら
どれほど皆に今まで
心配かけていたのかと
情けない気持ちで
言うとみんなは、
「「「お前の身体が心配なんだよ」」」
と、優しい眼差しで笑ってくれる。
そう、私は妊娠が難しいと
言われていたから
諦めていたのだが
第一子を妊娠した。
もうすぐ六ヶ月になる。
私が安定期に入るまで
式をしないと言ったのは
咲良子先生で·····
「だって、私にとって
大切な義妹で
大事な患者さんなんだから」
と、言ってくれた
咲良子先生、嫌、お義姉さんの
温かな気持ちが本当に嬉しかった。
だけど、てっちゃんの
あれはするな、これはダメには
いささか··手を焼いていたが······
これも、それも、
愛されてる証拠。
大事に大切にされている証。
と、嬉しくなる私は
てっちゃんにどっぷり
はまっているようだ。