諦めた心

私の中で、
怜との付き合いは、
幻だったと思うようになっていた。

家へと戻り
父の遺骨に何度も謝った。

泣きつかれて、
そのまま眠る事も多く
兄によって、自分のベッドに
運ばれていた。

そんな父の納骨の時
私は、久しぶりに怜を見た。

怜は、涙を流していたが
私の顔を視界にとらえると
顔を苦渋に曲げ
憎しみのこもった目を向けてきた。

私は、ずるずると
後ろに下がり

後ろから日和が支えてくれて
「どうした?」
と、小さな声でささやくから
なんでもないと
首を横にふり
怜に目を向けることなく
下を向いていた。

何とか納骨を無事に終わらせて
母と兄がご住職に
ご挨拶をしている間に
私は、父のお墓にいた。

少し肌寒いが天気も良くて
気持ちよかった。

少しすると
足音がしたので
兄かと思い振り替えると
怜で·····

再び、さっきと同様に
憎しみのこもった目を向けた

私が、その場から離れようと
怜の横を通り過ぎるときに
腕を捕まれた。
その掴みかたの激しさに
‹ うっ › と声が漏れると
「先生は、もっと、もっと
痛かったんだ。
なんで、先生なんだ。

あんな素晴らしい方が
お前が、お前が、死ねばよかったんだ!!」
と、叫んだ。

私は、その場に崩れ落ちた····

   ···とき······

“ ばーん ” とすごい音がして
顔をあげると
母が怜の頬を叩いて
「あなたに、あなたに、
      なにがわかるの!!」
と、怒鳴り付けた。

下を向いたままの怜を
兄が突飛ばし
私を抱き上げて
「二度と俺にも家にも近づくな
   親父の墓にも。
       一華にも。」
と、言い捨てて私を連れて
車に向かった。

私は兄の腕の中で
「ごめんね、ごめんね。
私のせいで、怜と喧嘩になって」
と、謝ると
「あんなやつ、友人でもない
一華を傷つけるやつは許さない。」
と、言いながら涙を流す日和に
私は胸が締め付けられた。
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