好きって言わせるから。


「────瀬名が憎いから」


「え…?」



聞こえてきたのは想像もしていなかった言葉。




「俺さ、何でもできて何でも手に入れる瀬名が嫌いなんだよね」




っ、そんな…



黒瀬くんは叶斗と仲がいいのだと思っていた。



いつも一緒にいるところを見てたから…




「だから、唯一まだ手に入れてないもの。……大切なものを奪ってみたくなっただけ」




吸い込まれるほどの真っ黒な瞳でそう言う黒瀬くん。




その瞳の奥で何を考えてるのかは分からないけど叶斗のことが嫌いなのはとても伝わってくる。




「でもさ……」




彼の手が髪に触れると息が触れ合うか合わないほどの距離が近くなって…




「俺、結構本気になっちゃったかも?」



え…


本気って…?



「だから覚悟しといて?」




そう怪しげそうに笑みを浮かべた。


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