好きって言わせるから。




「────叶斗が分かんない…っ」




ついその言葉を口にすれば叶斗に手をガシっと掴まれ真剣な表情で。




「待って。心桜なんか勘違いしてる。言ったよね俺。ちゃんとはっきりと清野さんのことは好きじゃないって」



「言ったよ。でも嘘、なんじゃないの…? 本当は彩葉ちゃんのことが好きで──」



「それは違う」




トーンを落とした低い叶斗の声が空き教室に響く。




「こんなに言っても俺の気持ちって伝わんないものなの? 清野さんのこと恋愛対象としてみようとも思わなかったし」



え…?



どういうこと…?



「で、でも先輩たちが言ってたのを聞いたよ? 先輩たちは好きって言われたことないのに彩葉ちゃんには好きって言ったって…」




混乱する頭の中を整理しながらもそう伝えれば顔を歪めた叶斗。



やっぱり本当だったんだ。



やっぱり好きなんじゃん。




「うん。言ったよ。でもそれは────」




この先なんか聞きたくない。




でも……




叶斗が発した言葉は私の想像する言葉とは違った。

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