好きって言わせるから。






「かなと……っ」



遠いけど数メートル先に歩いているのは間違えるはずのない叶斗の後ろ姿。




名前を呼べば足を止めてゆっくりと振り返る叶斗。



私を見た叶斗は一瞬だけ顔をしかめた。



ぶつかった視線ももすぐに逸らされてしまう。




「かな…」



「ねぇ~叶斗くん~

はやくいこーよ~何してるの~?」




ひょいっと後ろから出てきたのはお化粧をして髪も巻いている派手目な女の子。




くっつくように腕を絡めていて甘い声で叶斗を呼んでいる。




そんな小さなことなのに胸がズキズキと痛みだす。




誰にも取られたくないって、そんなわがままと同時に。


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