好きって言わせるから。
「なにーこの子~、あっ!!
もしかして最近喧嘩したって噂の幼なじみちゃん?」
「っ…」
棒読みな言い方だから余計嫌味に聞こえてしまう。
ふっと軽く笑った女の子の瞳はまるで私を見下すような目だった。
だけど彼女は私には興味ないらしくすぐさま甘い目で叶斗を見る。
「はやく行こうよ叶斗くんっ!!」
叶斗をグイっと引っ張る女の子。
「っ、いかないで……っ」
叶斗に行ってほしくなくて、
女の子に引っ張られているのとは違う反対側の手を掴んだ。
だけどその手は女の子が叶斗を強く引っ張ったことによってするりと簡単に離れてしまった。
っ、だめだ…
もうこの感情を止めることなんかできない……っ
叶斗の顔なんかみる余裕もなくて涙が頬を伝う前に私はその場を駆け出した。