好きって言わせるから。
嘘だ。
さっき帰るって言ってたくせに……
顔を背ければ叶斗にぎゅっとされ彼の温もりを感じる。
「なん…で…っ」
私なんか放っておけばいいのに…
なのになんで……?
「泣いてる心桜みたら帰れるわけないだろ。もともと帰るつもりなかったし」
「っ、でもさっき帰るって……」
「幽霊がいることも帰るって言ったのも冗談だから。ごめん」
「っ、いじわる…」
叶斗を怒りたいのに怒れないのは嬉しさが込み上げてくるから。
幽霊がいるっていう嘘をついたのは許せないけど帰らないでいてくれることに嬉しさを感じる。
それと同時に安心感にも包まれる。