好きって言わせるから。
だけど彼の手が髪に触れることはなかった。
なぜならそれはある人によって制されから……
「───あんたが心桜を送る必要はないからもう帰ってくんない。俺が心桜を送るから」
っ、叶斗…?
なんでここに……
「あと。心桜は俺のものだから諦めて」
千隼くんの手を掴んで振りほどいた叶斗は冷たい声でそう千隼くんに言った。
訳が分からずにその場の雰囲気で静かにしていると、叶斗にグイっと引っ張られ歩き始める。
「かなと…っ」
「……」
「待ってよ叶斗……っ」
名前を呼んでも叶斗は無視。
声を張り上げるようにもう一度、叶斗の名前を呼べばピタッと足を止める。
歩くスピードと雰囲気からして叶斗が怒ってるのはすぐに分かる。
でもどうして叶斗が怒ってるのかが分からない……