犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~
「おじさん、このポーションいくら?えっと、後払いでいいですか?効果を試してみてからで……」
「ああ、いいよ。って、効果は本当にないぞ?それに売りもんじゃないから、なんか買ってくれればおまけにつけてやるよ」
 後払いでよいと言うのを確認してからポーションを1本手に取ります。
「ちょっと、ルクマールさん足を出してください」
 ポーションの蓋を開けます。
「足?効果があるか見るためか?まぁ、構わないが」
 ルクマールさんが水虫でジュクジュクしている足を出しました。うへ。
 想像以上にひどい状態です。……イケメンなのに。
 ちらりとルクマールさんの顔を見ます。あんなに優しそうな笑顔の裏で、水虫に苦しんでいるなんて……。
 ジュクジュクに、躊躇せずにポーションをかけます。
「なっ、飲むんじゃなくて、かける?いや、そういう使い方もないわけじゃないって聞いたことがあるが……」
 じゅわわーっと、オキシドールで消毒したみたいに、白い泡が水虫から湧きだします。
 泡が次第に収まって、足の様子が見えると、すっきり水虫は姿を消していました。
「な、なんじゃこりゃ!あれほど悩んでいたのに……こんなにあっさりと……」
◆5
 にこっと笑う。
「これを買って家に帰れば悩みは解決するでしょう?」
 手を出すと、ルクマールさんが満面の笑みを見せました。ぐりぐりぐりっと、頭をなでられます。
 ちょっと、ちょっと、力加減、痛い痛い、これは褒めてるっていうよりも、体罰レベルですよっ。
「ありがとうな坊主!ほれ、約束の金だ、とっておけ」
 手には銀貨2枚が乗せられた。
「え?1枚多いですよ?」
「1枚は俺の悩みを解決してくれた分、それからもう1枚は母ちゃんの料理を再び食べられる感謝の気持ちだ!」
 うそ、いいのでしょうか?
 ルクマールさんの顔は本当に嬉しそうです。お母さんの料理が食べられなかったのがそんなにショックだったのでしょうか……。
 よほど美味しいとか?まぁ、何はともあれ、頭ぐりぐりの件はこれでチャラです。
 えへへ。ありがとうございます。ルクマールさん。
「店主、ポーションを少し分けてくれ。今の分も俺が払うよ、これで足りるかい?」
 ウイールズさんが小銀貨をいくつか渡している。
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