キミのことが好きすぎて


足音と先輩の背中を頼りに私は追いかける。



「ついてくんなっ」



そう言われると、何故かついて行きたくなるのが私だ。



「なんでっ、来るんだよ」


「せ、先輩が逃げるから......」



逃げながら言った悠真先輩に、私も負けじと言い返す。

だけど、先輩が止まってくれることは無い。


階段を駆け上がり、廊下に出た時に、2つ先の教室に入っていく人影が見えた。


もしかして、私を巻けたと思っているのかな。


だけど私は、騙されたふりなんかしない。


息を切らしながら歩いていき、先輩がいるであろう教室の前に立って、呼吸を整えるように、1度深く深呼吸をする。


ーーよし。


気合を入れて、私は勢いよくドアを開けた。



「先輩!大好きです」



開けた瞬間、私はそう叫んでいた。


目の前には、壁にもたれかかって上がった呼吸を整えている悠真先輩が居る。


バンッとドアを開けた音に、ビクッと肩が上がったのは見なかったことにしておこう。


それよりもーー。

< 10 / 228 >

この作品をシェア

pagetop