キミのことが好きすぎて


正面も、他の席も空いているのに、隣に座ったのはもちろん、わざとだ。

少しでも近くに居たい。

そう欲が出てしまっただけだ。



「なんで前じゃなく、隣に......」



もちろん、少しでも先輩の近くにいる為です!

なんて、間違っても口には出せない。


言ってしまったら、悠真先輩はわざわざ席を移るだろう。


そんな勿体ないこと、私がするはずない。

なので、先輩の声には聞こえないふりをして、今日の目的の勉強道具を出した。

もちろん、先輩から誤魔化そうとした時に、勉強しに来たことを思い出しただけで、積極的に私が勉強しようとした訳では無い。



「まぁいい、とりあえず初めから解いてみろ」


「はい!」



悠真先輩は、隣に座ったまま言った。

嬉しい......。

私はにやける顔を必死に抑えながら教科書を除く。


だけど、直ぐににやけた顔が引きつった。


ーー分からない。さて、どうしようか。

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