キミのことが好きすぎて
“問題1、当てはまる言葉を書きなさい。”
今開いているのは、国語の問題集。
教科書の中にある物語の問題なのだけれど、まず漢字が読めない。
隣をちらっと見上げると、悠真先輩は先程まで読んでいた本に戻ろうとしていた。
今なら、まだ間に合うーーよね?
「先輩、これって何ですか?」
私は、悠真先輩が本の世界に入り込む前に、読めなかった漢字を指さして言った。
「あ?そんなことも分からないのか、お前は馬鹿だな」
そう言いながらも、本は閉じて教えてくれる先輩。
なんて優しいのだろう。
1問目から私が躓いたからか、その後は本を開こうとはせず、次の問題の解き方も教えてくれた。
口調は丁寧ではないけれど、説明はわかりやすい。
先生からも馬鹿だと言われた私でも、理解することが出来た。
「先輩っ!これで合ってますか?」
私は、その説明通りに問題を解いて、悠真先輩に答えを見せる。
「ん、正解」
確認のために、少し私の方に覗き込む悠真先輩。