キミのことが好きすぎて
「あっ」
悠真先輩が来た。
私服姿の先輩には、制服とは違ったかっこよさがある。
そして、時刻は9時50分。
10分前に来るなんて、紳士的!
でも、10分も先輩を待たせたくはないので5分くらい経ったら出ていこうと思う。
もちろん、この5分は先輩を眺めるために使うのだ。
ただのジーパンに、Tシャツ。
その上からコートを羽織って、マフラーをしているだけなのに、どこか輝いて見える。
私が必死にオシャレをしても、そんな風には見えないのだから、流石は悠真先輩だ。
周りの女の人や、通るカップルもみんな悠真先輩を見ている。
ただ、少し不機嫌そうな表情をしているのだけは勿体ないけれど......。
私はこの機会を逃すまいと、柱の影からスマホを構えてシャッターボタンを押した。
カシャカシャカシャカシャーーっと、連写される音が鳴るけれど、そんなの気にしない。