キミのことが好きすぎて
「うん。あの美味しかった所だよね?」
たぶん、夏休み中に行ったケーキ屋さんのことを言っているのだろう。
居心地の良いお店で、3時間くらいおしゃべりをしながら、居座ったのを覚えている。
「そうそう。あそこがね、なんとーー」
なんとーー?
新作のケーキが出たとか?
それとも、まさか、お店が潰れちゃう......?
いや、そんなはずは無い。
時間帯によっては、行列ができるくらい人気だったはず。
「カップルで行くと、無料でケーキ1つプレゼントのキャンペーンしてるんだって!」
「あのケーキが無料!?」
それは、素敵すぎる。
美味しかったけれど、高校生のお小遣いで、しょっちゅう行けるような値段では無かったから。
紗奈ちゃんは、私に向かって、本当だよと頷いて見せた。
「じゃあ、今日の帰り行こうよ」
「結愛、聞いてた?無料になるのは、“カップル”だよ。女同士の私たちじゃダメなの」