キミのことが好きすぎて


呆れた声を出した先輩に言われて、初めて私は気づいた。

可愛いお弁当を作って、「食べてくださいっ」とか言うのが一般的だろう。唐揚げだけこんなにあっても、飽きるだけだ。


とにかく唐揚げを作ろうと思っていたせいか、お弁当という事がすっかり抜けていた。


私はシュンと肩を落としながら、失敗したと思う。



「ごめんなさい......唐揚げ作らなきゃとしか思わなかったです。こんなにあっても飽きちゃいますよね、また今度、お弁当作りますね」



私はそう言って、大量の唐揚げが入ったタッパーを返してもらおうと手を伸ばした。


今度は、ちゃんとお弁当を作ろうーー。もちろん、唐揚げも入れて。

そう思っていたのに、悠真先輩は私がタッパーに触る前に、唐揚げを1つ摘んで、パクッと口に入れた。



「えっ?先輩?」



呆れていたし、さすがに唐揚げだけじゃ食べて貰えないと思っていたのに......。


先輩は当たり前のようにモグモグと口を動かしていた。

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