キミのことが好きすぎて
たとえひとつだけでも、食べてもらえるとは思ってもいなかった。
私だって、食べる時にはご飯が欲しくなるのに。
だからこそ、おにぎりも作ってくれば良かったなぁと後悔する。
喜んで貰えたらと思っていたけれど、そう上手くは行かないものだ。
悠真先輩の隣に座ったまま、私は勢いで行動しすぎたと後悔だけが募っていった。
食べている先輩を見つめていると、1つ目が無事に食べ終わったらしく、ゴクンと喉を鳴らす。
ーーどうだろう。味付け大丈夫かな?
不安になりながら、私は悠真先輩の反応を待つ。
恐る恐る横を見上げると、先輩は無表情のまま口を開いた。
あぁ、やっぱり不味かったんだ......。
口角も上がったいないから、きっとそうなのだろう。
悠真先輩の口からでる言葉を聞きたくない。私は寒さで麻痺した耳をこのまま塞ぎたいと思ってしまう。
だけどーー。
「......美味い」
そう言って、先輩はもうひとつ摘んで口に入れた。