キミのことが好きすぎて


普段はあまり通らない、2年生の教室の前を通って3組を目指した。


ひとつしか離れていないのに、通り過ぎる先輩達は大人びて見える。

場違い感が半端ない。


私はキョロキョロしながら、先輩を探した。


まだ帰ってないよね......。


3組の教室の前に着き、後ろの扉からこっそりと教室の中を覗いた。


悠真先輩はーー、居た!


カバンに荷物を詰めて、立ち上がりなんと、私のいる後ろの扉に向かって歩き始めた。


どうしようーー。

心の準備が......。


私は咄嗟に、その場にしゃがみこみ扉の影に隠れた。


なんて言う?

ケーキ食べに行きましょうって言ったって、来てくれるはずがない。


デートしましょうって言ってみる?

ーーいや、これはあからさますぎて逃げられるに決まっている。


あぁ、どうしよう。

先輩は刻一刻とこちらに向かっているので、考えている時間なんてない。



「お前は、何をしているんだ?」


「悠真先輩を待ってるので、邪魔しないでください」


< 19 / 228 >

この作品をシェア

pagetop