キミのことが好きすぎて
あれ?見えてるよね?立ち止まっているし、目は合っている。
だから、気づいているはずなのだけれど......。
おーい、と目の前で手を振ってみる。
「......はよ」
そう無表情で言われた。
この反応は、不機嫌......と言うよりは多分、眠いからだろう。
先輩の小さな変化にも、私は気づけるようになっている。
それを知れただけでも幸せだった。
今にも鼻歌を歌い出したくなっている私だけれど、周りにいた人は少しザワッとした。
「......あの噂本当だったんだ」
ーー噂?なんの?
「あの松木が、後輩に優しくしてるって話だよね」
「あの子がーー」
あぁ、そっか。
私は慣れているけれど、学校内では未だに悠真先輩の噂が残っているんだ。
きっと、今のも周りの人には、不機嫌オーラが出ていると思われているに違いない。
ただ、眠いだけなのに。
だけど、後半のはどういう事なのか分からない。
もしかして、私も有名人になってしまった?