キミのことが好きすぎて


あれ?見えてるよね?立ち止まっているし、目は合っている。

だから、気づいているはずなのだけれど......。


おーい、と目の前で手を振ってみる。



「......はよ」



そう無表情で言われた。


この反応は、不機嫌......と言うよりは多分、眠いからだろう。

先輩の小さな変化にも、私は気づけるようになっている。

それを知れただけでも幸せだった。


今にも鼻歌を歌い出したくなっている私だけれど、周りにいた人は少しザワッとした。



「......あの噂本当だったんだ」



ーー噂?なんの?



「あの松木が、後輩に優しくしてるって話だよね」


「あの子がーー」



あぁ、そっか。

私は慣れているけれど、学校内では未だに悠真先輩の噂が残っているんだ。

きっと、今のも周りの人には、不機嫌オーラが出ていると思われているに違いない。

ただ、眠いだけなのに。


だけど、後半のはどういう事なのか分からない。


もしかして、私も有名人になってしまった?

< 194 / 228 >

この作品をシェア

pagetop