キミのことが好きすぎて
気の進まないプリントを目の前に、私はため息をついた。
冷房の効いた教室内は快適だけど、1枚の窓を境にそこから先は熱気がひどく、帰り道の事を考えると憂鬱になる。
教室には、数人の生徒が居て、その中にはネクタイの色から先輩とわかる人もーー。
「はぁ......帰りたい」
私は、今日、何度目か分からないため息をついて、シャーペンを握った。
夏休みなのに、なんで私は学校で補習を受けているのだろう......。
遊びに行きたいのに。
「そんなに帰りたいなら、進めれば?」
独り言のはずだったのに、聞こえてしまったらしい。
声の聞こえた隣の席に目を向けると、黙々とプリントを進めている男子が居た。
すでに半分以上が終わっている。
そして、その手は今も止まることがない。
「凄い......」
スラスラ解けるのに、なんで夏休みの補習なんかに参加しているのだろうーー。
必要ないだろうに......。