キミのことが好きすぎて
そんな質問に答えている暇はないのだ。
私は上から降ってきた声に、顔も向けずに答えた。
ーーん?“上から降ってきた”?
私は、恐る恐る見上げてみる。
「ぎゃあ、悠真先輩っ!」
なんと、私を見下ろしていたのは悠真先輩本人だった。
先輩本人に、待っていると言ってしまったよ。
これじゃ、待ち伏せしていたと思われてしまう。
そんなことを考えても既に遅いのだけれど、何とか誤魔化さないと......と、私は必死に思考を巡らせた。
「せ、先輩......。こ、こんな所で会うなんて偶然ですね〜」
これはやばい、怪しすぎる。
失敗したーー。
どうか、怪しまずにいて欲しい......。
「バカだろ、お前。教室まで押しかけておいて、偶然な訳があるか。第一、今待ってるって自分で言ってただろ」
ーー騙されてはくれなかったか。
扉のそばでしゃがみこんでいる私と、それを見下ろしている先輩。
そんな私達を、周りの先輩は興味津々で見ていた。