キミのことが好きすぎて


ひょこっと、悠真先輩の背中越しに現れたのは、補習の時に悠真先輩の名前を教えてくれた、優しい先輩だった。


鳴海(なるみ)先輩というのかーー。



「先輩!先輩は鳴海先輩というのですね。こないだは悠真先輩の名前を教えてくれてありがとうございました」


「ふふっ、いいのよ。私はこの男よりあなたの応援がしたいから」



ーー見ていて楽しいし。

そう小さな声で付け加えられたのは、知らないふりをしておこう。



「こいつに、俺の名前を教えたのはお前だったのか」


「別にいいでしょ?困ることでもないんだから」



悠真先輩は、はぁ......と諦めたようにため息をついていた。

鳴海先輩には逆らえないのかもしれない。



「ほら、行ってきなよ。行かないなら、私がこの子に、あんたの色んなこと教えて来ようか」



悠真先輩の色んなことーー。

すごく魅力的だ。

悠真先輩とデートに行けないのは残念だけれど、それもありかもしれない。

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