キミのことが好きすぎて
「待てよ。ケーキ屋なことは見ればわかる。お前、大事な用があるって言ってたよな?まさか、これが大事な用......とか言わないよな?」
「何言ってるんですか、先輩。そうに決まってるじゃないですか」
当たり前だ。
まぁ、ケーキ屋さんに行くことを言わなかったのは、わざとだけれど、嘘は着いていない。
私にとっては、ここの美味しいケーキを食べることだって、大事な用だ。
「帰る」
そう言って、踵を返した先輩を私は咄嗟に引き止める。
「ダメですよ。悠真先輩が、行くって言ってくれたんですから」
「ーー離せ」
「離しません」
私は、絶対に離してなるものかと、掴んでいる先輩の腕をぎゅっと握りしめた。
私の力だと、先輩は簡単に振り解けるだろうけれど、無理に振りほどかないところが、また優しい。
「なんで、ケーキなんだよ......」
「ここのケーキ美味しいんですよ」
私はそう言って、腕を掴んだままお店に入った。