キミのことが好きすぎて


ーー悠真先輩と関節キスをしてしまった。


悠真先輩が食べた後のフォークが、今私の口の中に入った。

これは、決して私が変だからそう思うのではなくて、好きな人が相手だからそう思うのだろう。


仮に、紗奈ちゃんに同じことをされたとしても、何も思わない。

緊張する訳でもなく、むしろ、お互いに食べさせ合う気がする。


相手が、悠真先輩だからこんなにドキドキしてしまうのだ。



「お、美味しいですね〜......」



明らかに挙動不審な私は、訳の分からないことを口走ってしまう。


あぁ、もう、私のバカっ!

今先輩は、甘すぎて無理って言ったばかりじゃないか。

なのに、なんで出てきた言葉が、“美味しいですね”なのよ。


口には出さず、私は心の中で自問自答した。


そんな私に、先輩は何言ってんだコイツとでも言うような視線を向けてくる。


今の言動がおかしい事くらい、私だってわかっている。

だから、そんな目で見なくても......。



「さっさと食えよ」


< 43 / 228 >

この作品をシェア

pagetop