キミのことが好きすぎて
悠真先輩が私と会話をしたこと、そして、初めてこの場で口を開いたという事もあり、周りからは不機嫌な人達の声が聞こえてきた。
全て私に向けられているその言葉たちに、居心地が悪くなる。
そんな私の様子を見たのか、偶然なのか、悠真先輩は私の手を引いて、その人混みを抜け出した。
助けに来たはずなのに、これじゃ助けられている。
「せ、先輩ーー、あの」
「気にすんな」
ありがとうございますと、すみませんが混ざって、なんて言ったら良いか戸惑っていたら、先輩が私の言葉に被せるようにそう言った。
助けてくれただけでも嬉しいのに、不意打ちでの優しさに、私は胸がキュンとする。
もちろん、なにがーー?とか、そんなこと言わなくてもわかっている。
「先輩は......、やっぱり優しいですね」
私は改めてそう思った。
言葉とは違って、いつも行動は優しさが溢れている。
はじめは一目惚れでも、そんな所にどんどん惹かれていったのかもしれない。