キミのことが好きすぎて


このままじゃ、話ができない。

逃げられてしまう。


そう思った私は、残りの問題を適当な答えで埋めてから、荷物をまとめて先輩を追いかけた。


多分3分くらいだったと思う。


これなら走ったら先輩に追いつけるはず。


終わったら先生に報告してから帰ることになっているので、多分行先は職員室だ。


私は階段を駆け下りて、職員室のある別棟に向かう。

そしてーー、職員室から出てきた先輩を見つけた。



「悠真先輩!」


「げっ......」



人気のない廊下に響いた私の声は、少し先に離れている先輩にもよく聞こえたらしく、嫌そうな顔をされた。

そして、私のいる方とは逆に走り出した。



「ちょっ!あ、待ってくださいよ!」



私も反射的に走り出す。

逃げられたら追いかける。

頭で考えるよりも、身体が先に動いていた。


廊下には、2人分の走る足音が響く。


あまり別棟には来ていなかったので、どこに何があるのかがイマイチ分からなかった。

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