お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~
「そんなこと、自分が一番わかってるよ、こはる」
自分の気持ちを隠して、私のことを好きでもない相手と夫婦として過ごすなんて。報われないにもほどがある。
でも、もう私は決めたのだ。拓海の妻として、彼をしっかり支えていこうって。
「そうだ、ボーっとしてる場合じゃない」
拓海にお弁当を作ると約束したのだ。早く用意しないと、お昼休みに間に合わなくなる。
冷蔵庫を開け、メニューを考える。午後もしっかり乗り切れるよう、メインにはがっつりお肉を使おう。栄養のバランスと彩りも考えて……。
食材を選びながら、気づいたら鼻歌を歌っていた。私ったら、柄にもなく浮かれてる……。
トイレを終え戻ってきたらしいこはるが、また私を見て「バッカじゃないの」とでも言いたげな顔で歩いて行った。