お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~
「……やだ、……下ろして拓海」
弾む息と一緒に、なんとか声を絞り出す。言うことをきいてくれるかと思いきや、拓海は唇の端を上げて妖艶に微笑むと、「寝室に行こう」と私の耳元でささやいた。
私の返事を待つことなく、少し荒々しい足取りで寝室へ向かう。私を抱いたまま器用にドアを開けると、拓海は私をベッドの上に座らせた。
「ちょ、ちょっと待って拓海」
「なんで?」
いつもの落ち着いた雰囲気はすっかり消え失せ、熱に浮かされた熱い瞳が私を射抜く。
「……ようやく気持ちが通じ合ったんだ。だから、心ごと夏美を愛したい」
拓海の言葉に、今までにないほど心拍数が上がる。
「……嬉しい。私も、心ごと拓海と愛し合いたい」
待てなかったのは私の方だった。私が自分から拓海の首にしがみつくと、あとはもう、されるがまま。カーテンの向こうが白むまで、私は擦れた嬌声を上げ続けた。